抄録
戦後開拓地に関する地理学の研究課題の一つは,入植者がいかにして自然環境に適応しつつ土地を開墾・利用し,農牧業を発展させてきたのかを知ることである.このことは,集落と土地所有の形態,土地利用,地域組織などから構成される空間パターンがどのように形成されてきたのかを解明することでもある.そこで本稿は,那須山麓における戦後開拓地を事例に,集落と土地所有の形態,土地利用,農業経営,地域組織を総合的に捉え,開拓地における空間パターンの形成過程を体系的に分析した.その結果,那須山麓の戦後開拓地における農牧業の発展過程は酪農を主体とし, 4期に区分できた.つまり,集落の集中と分散,土地所有の団地化,乳牛飼育の多頭化に伴う土地利用の単一化,地域組織の広域化などにより,明確な空間パターンの形成と変化過程が確認されたのである.