地理学評論 Ser. A
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北半球冬季500 mb面高度場におけるテレコネクションパターンの連鎖について
金谷 年展
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1988 年 61 巻 4 号 p. 317-331

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抄録

1946年~1985年の冬季(12,1,2月)における半旬平均500mb面高度場に主成分分析を施すことにより,ユーラシア大陸上で3つ (E1, E2, E3パターン), 太平洋~北アメリカ上で3つ (P1, P2, P3パターン)のテレコネクションパターンを抽出した.
成分スコア間のラグ相関係数を計算することにより,E3パターン(ヨーロッパ北部で一,中央アジアで+,シベリアで一,日本東方海上で+)からP2パターン(北太平洋上で+,アラスカ付近で一,北アメリカ中央部で+,北アメリカ南東部で一)への連鎖が存在することを見出した.実際にこのテレコネクションパターンの連鎖が顕著におこっている例をとりあげ,定常ロスビー波のアクティビティフラックスを計算したところ,中央アジア付近から低緯度太平洋への定常ロスビー波の伝播とその低緯度太平洋から北アメリカへの定常ロスビー波の伝播によって,こうしたテレコネクションパターンの連鎖がひきおこされていることがわかった.また低緯度太平洋での循環場の状態を調べたところ, Southern Oscillation Indexが大きく熱帯西部太平洋での対流活動が活発な時に,顕著な負のE3パターンが出現した場合,顕著な負のP2パターンへの連鎖がおこることもわかった.

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