地理学評論 Ser. A
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新庄盆地・山形盆地の活構造と盆地発達過程
鈴木 康弘
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1988 年 61 巻 4 号 p. 332-349

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抄録
東北日本に分布する構造性盆地には,広い沖積面が分布するものと,盆地床の大部分が開析の進んだ丘陵地となっているものの2つのタイプがある.本研究では,両タイプの盆地が隣接する,新庄盆地から山形盆地にかけての地域を取り上げ,活構造の分布および変位の様式を明らかにし,盆地床の形態に相違が生ずる原因とメカニズムを考察した.
新庄盆地は,鮮新世にすでに沈降域であったため,盆地内堆積物は非常に厚い.そのため,低角逆断層が山地寄りから盆地内へ次々に移動発生し,それらの上盤側は隆起域へと転じ丘陵地化した。それに対し,山形盆地では第四紀後半に初めて盆地域となったため,盆地内堆積物は未だ低角逆断層の移動発生にとって充分な厚さを有していない.そのため,断層運動は盆地の縁辺部に集中し,広い沖積面を形成している. 両盆地における断層運動様式の相違とその変遷から,低角逆断層の移動発生と共に盆地床の形態が変化していく盆地発達過程のモデルが提示された.
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