2021 年 41 巻 p. 905-914
目的:地域包括ケア病棟の看護師が実践する退院支援のプロセスを明らかにし,効果的な看護実践への示唆を得る.
方法:地域包括ケア病棟勤務経験2年以上,看護師経験5年以上の看護師19名を対象に半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法で分析した.
結果:退院支援のプロセスは,患者の入院・転棟の決定時から,《60日退院の軌道乗せ》と〈退院後のイメージ化〉を開始し,これら2つを往還しながら,同時にプロセスの核となる【地域で生きる力の回復・補強】に向けて患者と家族に働きかけるものであり,〈患者の生き方を慮る〉,〈家族と緊密に連絡〉,《専門職チームの一丸化》が,プロセス全体を円滑に進める推進力となっていた.
結論:本研究結果を現場で適用する際には,高齢入院患者の特徴を十分に踏まえたうえで,退院支援プロセスの核である【地域で生きる力の回復・補強】が促進されるよう,各々の支援を円滑に実施することが重要である.