斉一説は160年の長期間にわたり使用されてきた言葉である.その意義は地質学・地形学の進歩に対応して変容してきた.同時に斉一説に関する多様な誤記・謬説が生み出されてきた.本稿では,斉一説の意義を歴史的に整理して,誤記・謬説のルーツを追いながら誤りを訂正し,斉一説の現代的意義について考察した.その結果,「斉一説」という用語は,歴史的用語として,初期の斉一説に限定して使用すべきことを主張した.また,それ以後の斉一説(方法論的斉一説など)は科学一般に採用されるべき常識的な考えになってしまっている.今日,斉一説を唱えることは時代錯誤になっている状況を概説した.