地理学評論
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礫浜カスプの形成過程に関する野外実験と室内実験
青木 久
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2004 年 77 巻 4 号 p. 195-208

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抄録

礫浜におけるカスプの形成過程を明らかにするために野外実験と室内実験を実施した.相模湾真鶴岬先端付近のポケットビーチ(礫浜)における野外実験では,既存のカスプを壊して平滑に整地した後,カスプが回復する過程を観察した.室内水槽実験では,平滑な一様勾配斜面から成る模型海浜を作り,遡上波帯の地形変化を含めて,カスプの出現・成長過程を観察した.カスプスペーシングは野外では2.2~2.5m,室内では29~35cmとなった.フルードの相似則に基づいたスケーリングによって,室内実験値を野外スケールに換算すると7.7~9.5mとなり,オーダーレベルで野外実測値と一致することがわかった.カスプ形成に関しては,野外と室内実験のいずれにおいても,不規則地形(野外では巨礫集積部,水槽内では側壁)から遡上波フロントの屈曲が起こり,カスプの形成が始まった.この遡上波フロントの屈曲とそれに同調する前浜上の凹凸地形の相互作用が,連続したカスプを形成することがわかった.

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