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メレダイヤモンドはジュエリーや時計の装飾に使用される重要な宝石素材である。最近 3-4 年で無色の合成メレダイヤモンドが市場で多く見られるようになり、天然メレダイヤモンドと合成メレダイヤモンドの混在事例が複数報告されている 1,2。最近、照射処理によって緑青に着色された数千個のメレダイヤモンドが検査のために GIA 東京ラボに持ち込まれた。本発表では、その鑑別結果について報告する。
検査した石はすべて照射処理によって作られた GR1 センターの吸収によって着色しており、ほぼ均質な緑青色であった。FTIR、フォトルミネッセンス、DiamondViewTM を用いた検査によって、そのほとんどが照射処理された天然メレダイヤモンドと鑑別されたが、照射処理された CVD 合成メレダイヤモンドが数個混在していることが分かった。
今回見つかった CVD 合成メレダイヤモンドのすべてにおいて、FTIR スペクトルでは 3123cm-1 にピークが存在し、フォトルミネッセンススペクトルでは 596/597 nm にダブレットピークがみられた。これらのピークはアニーリングによって強度が弱くなるか、消失することが知られており 3、今回見つかった CVD 合成メレダイヤモンドは、合成後、アニーリング処理されずに照射処理が施され着色したものと考えられる。