宝石学会(日本)講演会要旨
2019年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
会議情報

2019年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
照射処理された CVD 合成メレダイヤモンドの鑑別
*小竹 翔子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 9

詳細
抄録

メレダイヤモンドはジュエリーや時計の装飾に使用される重要な宝石素材である。最近 3-4 年で無色の合成メレダイヤモンドが市場で多く見られるようになり、天然メレダイヤモンドと合成メレダイヤモンドの混在事例が複数報告されている 1,2。最近、照射処理によって緑青に着色された数千個のメレダイヤモンドが検査のために GIA 東京ラボに持ち込まれた。本発表では、その鑑別結果について報告する。

検査した石はすべて照射処理によって作られた GR1 センターの吸収によって着色しており、ほぼ均質な緑青色であった。FTIR、フォトルミネッセンス、DiamondViewTM を用いた検査によって、そのほとんどが照射処理された天然メレダイヤモンドと鑑別されたが、照射処理された CVD 合成メレダイヤモンドが数個混在していることが分かった。

今回見つかった CVD 合成メレダイヤモンドのすべてにおいて、FTIR スペクトルでは 3123cm-1 にピークが存在し、フォトルミネッセンススペクトルでは 596/597 nm にダブレットピークがみられた。これらのピークはアニーリングによって強度が弱くなるか、消失することが知られており 3、今回見つかった CVD 合成メレダイヤモンドは、合成後、アニーリング処理されずに照射処理が施され着色したものと考えられる。

著者関連情報
© 2019 宝石学会(日本)
前の記事 次の記事
feedback
Top