宝石学会(日本)講演会要旨
2026年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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2026年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
栃木県加蘇鉱山及び久良沢鉱山より産する宝石質マンガン鉱物
*福田 千紘, 河野 重範, 江島 輝美
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p. 3

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抄録

栃木県日光市、鹿沼市から群馬県桐生市にかけては多数のマンガン鉱山が知られており様々なマンガン鉱物が記載されている。本研究では鹿沼市の加蘇鉱山と日光市の久良沢鉱山からマンガン鉱石を採取し構成鉱物を記載するとともに実際に研磨加工を試み宝石素材としての評価を行った。

鹿沼市加蘇鉱山は鹿沼市市街地より西方10km の谷間に位置し、吉村(1969)によると主要鉱石は rhodonite でその他種々のマンガンを含む鉱物を付随する。現地調査の結果、遺構は良く残存しており沢筋の転石や残存貯鉱から良好な試料が得られた。

日光市の久良沢鉱山は足尾銅山通洞坑より南東 2km の谷沿いに位置し、主要鉱石はrhodonite で pyrosmalite-(Mn) が主体の部分もあったと記載されている。現地調査の結果、幾つかの坑口がみられ谷筋のズリより変質したチャート~泥質岩中にピンク色マンガン鉱物が脈状に農集している試料を得た。

各産地の鉱石の薄片を偏光顕微鏡で観察すると加蘇鉱山の試料は rhodonite が主体で少量の spessartine、 rhodochrosite、不透明鉱物が、久良沢鉱山の試料も rhodonite 主体で少量の pyrosmalite-(Mn)、 spessartine、rhodochrosite、不透明鉱物が認められた。

粉末 XRD 分析により採取したピンク色優勢の鉱石は両鉱山ともに rhodonite が主体であることを確認した。また久良沢鉱山の黒色不透明鉱物からは manganite、 manganositeが認められた。

ピンク色優勢部の組成分析で加蘇鉱山のrhodonite は MnSiO3成分が 85mol%程度と久良沢鉱山の 77mol%程度よりも高い数値が得られ、加蘇鉱山産に FeO が少ない記載を再確認した。久良沢鉱山の試料からは Cl が検出されるが、これは pyrosmalite-(Mn)が含まれるためである。また rhodonite の組成比を逸脱する測定点が存在するが rhodochrosite が細脈状に分布している影響によるものと考えられる。

各鉱山の鉱石試料を直方体に鏡面研磨したところ市販されている宝石質 rhodonite と遜色ない品質の研磨石が得られた。

加蘇鉱山の試料から研磨した石は品質が安定しておりやや紫がかったピンク色で黄色のspessartine、黒色の Mn 酸化鉱物が散在する。研磨部位を調整することにより他種鉱物が表面に殆ど出現しないような均一なピンク色の研磨石を得ることも可能であった。粗粒結晶からなる試料、細粒結晶からなる試料、縞状構造の見られる試料の 3 種類が得られているがこのうち細粒結晶からなる試料が最も美しい研磨石に仕上がった。

久良沢鉱山の試料は加蘇鉱山の試料に比べてより青みが強い紫よりの色相を呈する。母岩中の脈の肥大化した部分を選んで研磨したが他種鉱物の混在は不可避だった。

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