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新潟県糸魚川のひすいの中には、ドラゴン・アイ・ジェイドと呼ばれる、ノジュール状の累帯構造を伴ったひすいが見られることがある。今回姫川より産出したサンプルを入手することができたので、その構造を調査した。サンプルは、 10 × 5.5 × 3.5 cm ほどのひすい輝石岩で、それ自体の重さは 215 g ほどであった。その一部には写真のような、中心から緑、白、緑、白となっている、直径 15 mm ほどノジュール状の累帯構造が見られた。
ラマン分光で複数点を調査したところ、サンプル全体としてはほとんどの場所がジェダイト NaAlSi2O6であったが、このノジュール状の構造については、緑の中心部(A)はプレーナイト Ca2Al2Si3O10(OH)2であり、その外側の白い層(B)はオンファサイト(Ca,Na)(Al,Mg,Fe,)Si2O6、その外側の緑の層(C)は再びプレーナイト、その白の外縁部はプレーナイトとオンファサイトの反応が確認された。他にも内側の白いスポット (D)にはオーソクレースも確認された。
また、成分を分析すると中心から外縁部にかけて、 Ca の含有量の低下と反比例して Naの増加が見られた。
近年の研究では、糸魚川ひすいは、沈み込み帯の高圧・低温環境で、蛇紋岩メランジュ中に流体が関与してできたと考えられており、ひすいが形成後、マントルウェッジ内に長期間滞留再結晶・溶解・再沈殿を繰り返した可能性が示されている。 (Morishita 2017)また、ノジュールの中心核となったプレーナイトは、ジェダイトよりもより低圧、低温で生成するものである。 (Morishita 2017)
これらのことから、このノジュール状累帯構造は、糸魚川の蛇紋岩メランジュ環境で、ひすいの形成後、周囲の岩石や熱水流体から Caが供給され、プレーナイトが生成し、周囲の Naに富むジェダイト (Na 輝石)との反応によりオンファサイト (Na-Ca 輝石)が形成された可能性が高いと考える。