抄録
第53回で,市販の歯科用金銀パラジウム合金の凝固法によるミクロ組織と硬さの関係を報告した.
その結果,as-receivedに1123K3.6ksの溶体化処理を施した場合のミクロ組織はα2,α1相および β相からα相,β相およびβ’相へ変化し,硬さは向上した.一方,液体凝固法(LRS)のミクロ組織は,α相,α1相およびα2相からα相へ変化し,硬さは減少した.同じ組成で同様の熱処理を施したにもかかわらず,as-receivedでは硬さが向上,LRSでは軟化した.この原因はミクロ組織に存在するβ相が影響を及ぼしていることを報告した.
今回はas-received材およびLRS材を再溶融し,β相の有無と溶体化処理による硬さ変化を検討した.