日本歯科理工学会学術講演会要旨集
平成21年度秋期第54回日本歯科理工学会学術講演会
セッションID: OS-8
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「ジルコニアを用いたメタルフリーレストレーションを考える」
ジルコニアを用いたメタルフリーレストレーションを考える.臨床の立場から
*新谷 明喜
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抄録
歯科治療を望む患者さんは,生体材料用いた補綴修復装置に審美性と生体適合性に対する要求を増大させている.ルコニアセラミックス(以下ジルコニアと略す)は,優れた強度と靭性を有するバイオマテリアルである.歯科領域においては,オールセラミック修復をはじめとする審美補綴のフレーム材への臨床応用が行われている.そのジルコニアフレームは単冠から1-2歯欠損のブリッジまで製作が可能となり,メタルフレームと同等かそれ以上の機能と機械的性質を有する素材として脚光をあびている.最近のMI審美修復では,自己治癒可能なエナメル質は可及的に切削せず,切削したエナメル質や 象牙質は接着材で接着処理している.その結果,歯質の耐酸性を高めてリーケージによる二次ウ蝕の防止,セラミックスのマージン変色を防止することが可能となってきた.ジルコニアを審美修復として応用するには,レヤリングポーセレンや歯冠用ハイブリッド型レジンが,ジルコニアフレームに対して強固な接着を可能にするシステムとして確立できれば,補綴装置の信頼性,安全性の高い治療方法になる.そして,症例に応じて修復材料を使い分ければメタルフリークラウン・ブリッジの応用範囲が広がる.さらに,CAD/CAMによる技術開発は修復装置の高品質化,加工精度の規格化,製作工程の簡略化や技工環境の改善などが期待できる.ジルコニアの高い明度(白色)と屈折率により天然歯の色調再現が困難であったフレーム材が,着色材を用いて表面を着色することで精巧な色調が可能となり,前歯部に応用しても高い審美性が得られるようになった.このような新製品を臨床応用する場合,機械的性質の曲げ強さに加え破壊靭性値についても表記する必要がある.特にブリッジのフレームに使用するジルコニアでは重要な評価基準である.破壊靱性値を比較すると,Pencraftで3.11,Vitadurで1.9,Crysceraで2.78,IPS Empress 2で3.02,In-Ceram Aluminaで4.7,Cerconで9.5,NANOZRで19.2MPa・m1/2と最も大きな値を示した.これら材料と技術により,ジルコニアを用いたエステティックレストレーションによる一口腔の修復が可能になってきた.
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© 2009 日本歯科理工学会
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