抄録
単層および多層カーボンナノチューブが細胞分化に与える影響を調べるために,マウス由来のiPS細胞とES-D3細胞を3日間懸滴培養し,さらに2日間静置培養してEmbroid bodies(EBs)を作成したのち,単層または多層カーボンナノチューブ上に,それぞれ20個のEBsを置き10日間静置培養した.分化率は,EBsから分化したテラトーマ内部に鼓動の発生が確認されたEBsの割合いから算出した.その結果,ES-D3細胞ではディッシュのみで66%の鼓動発生率であった.単層カーボンナノチューブで35%,多層カーボンナノューブでは60%の鼓動発生率であった.一方,iPS細胞ではディッシュのみで35%の鼓動発生率であり安定的な細胞分化条件をさらに探る必要があると考えられる.