日本歯科理工学会学術講演会要旨集
平成21年度秋期第54回日本歯科理工学会学術講演会
セッションID: OS-3
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「歯科材料・器械の評価基準を考える」 -ISO規格の要点-
セラミックス,コンポジットレジン,義歯床用レジンの規格について
*高橋 英和
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抄録
コンポジットレジンは修復材料委員会(SC1)の作業委員会であるSC1WG9で審議され,第3版であるISO 4049:2000を改定すべく,最終原案の投票が行われたところである.主な変更点は,日本からの提案で接着性を有するとするレジンセメントがこの規格から除外されることを明記したことである.要求値には大きな変更はないが,エックス線不透過性についてはユニバーサル色で測定し,他の色調の値が2倍以上異なる場合はその色調でも測定することとなっている.なお,エックス線の不透過性については新たな規格の制定がSC1WG10で試みられている.セラミックス材料は補綴材料委員会(SC2)の作業委員会であるSC2WG1で審議され,ISO 6872の第3版として2008年に制定された.この改正では粉末陶材の使用目的でClass分類がされていたものが,各種陶材を臨床使用目的によってClass分類されている.また,曲げ強さの評価方法として4点曲げ試験が加えられ,付属書に破壊靱性の測定方法とワイブル分析の解説が加えられている.現在,昨年問題となった陶材の成分について,その分析方法と要求値の検討が開始している.また金属陶材焼付けを規定しているISO 9693:1999に陶材同士の焼付強さの評価方法も加えるべく,検討されている.義歯床用レジンはSC2WG11で審議されている.ISO 1567:1999に代わってISO 20795-1が義歯床用レジン材料として2008年に制定された.この改定ではレジン材料を義歯床用材料の第1部と矯正用材料の第2部に分け,異なる要求値を設けたことである.義歯床用レジンには衝撃に強いとされる製品があるが,2003年制定の修正表ではCharpy衝撃試験で評価していた.今回の規格では予亀裂を導入した試験片で3点曲げ試験より破壊靱性値と仕事量を求めている.現在作業中の矯正用レジンにおいても破壊靱性値が要求値として求められている.これは床矯正装置を使用するのは多くが小児であり,使用中に破折すると問題があるとの考えに基づいている.
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© 2009 日本歯科理工学会
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