抄録
AuCu-Ag擬2元合金は歯科用金合金の基本となる合金系であるが、硬化熱処理を行うと、Cuに富む相とAgに富む相に相分離し、耐食性を損なう。これに対して、我々は、Ag以外の元素Gaを添加することで、耐食性に優れ、しかも室温で時効硬化する歯科用金合金を開発した。本研究は、Ag以外の第三元素を含む新しい歯科用金合金を開発する第一段階として、等原子比のAuCu合金にSnを添加した合金系の擬2元状態図を作成することを目的とする。
Fig. 1に本研究で決定したAuCu-Sn擬2元合金状態図を示す。
AuCuIII型規則格子相はRaynorら[1]がAu-Cu-AuGa系合金で報告しているが、AuCu-AuGa合金系以外でこの規則相の存在が確認されたのは本合金系がはじめてである。
Karlsenら[2]はSnが高い領域における状態図を報告しているが、この状態図とEDXによる濃度分析の結果から、280℃における平衡状態図を見積もった。Fig. 2に280℃における部分平衡状態図を示す。