抄録
磁気共鳴画像(MRI)脳神経領域における術前、術後の臨床診断に欠かすことが重要な検査手段になりつつある。しかし、撮影画像においていくつかの原因に由来するアーチファクト(AF)が生じ、正確な情報が得られなくなり、重篤な患者の診断、処置に支障を来すことがある。そのひとつに、上顎に歯科処置された金属補綴物、修復物に由来する不均一静磁場の影響がある。これまでにもこのことは指摘されてきたが、近年、MRI装置の高磁場化が進み、装置の磁束密度が従来の0.2∼1.5テスラ(T)から3.0Tへと飛躍的に高い装置が開発されている。これに伴い、歯科用合金によるAFも大きくなっている。そこで、今回、0.5Tおよび1.5TのMRI装置に加えて、本学に導入された3.0Tの超高磁場MRI装置を用いて、各種の歯科用合金によるAFの大きさを磁場強度と撮像方法を変えて測定し、合金の磁化率との関係についても検討を加えた。
以上により、今後、超高磁場MRI診断が普及することを考慮すると、上顎に用いる歯科用金属としてAFのより小さい材料の選択が重要であると考えられる。