抄録
金属の腐食を引き起こす酸化剤として, 主に溶存酸素が挙げられるが1), 2), 生体内では活性酸素も酸化剤として働く。様々な活性酸素のうち過酸化水素は, 溶存酸素還元反応が2電子還元で終わった場合の反応中間体でもあり, その還元挙動は重要であるにもかかわらず, 広く研究されているとは言い難い。そこで, チタンおよびチタン合金の過酸化水素還元反応を電位走査法を用いて検討した。すなわち, 試験溶液に過酸化水素を添加し, 開路電位から卑な電位域での陰分極曲線を測定したところ, 過酸化水素添加とともに, -0.5V(SCE)付近から還元電流が増加し始め, 添加濃度に依存した限界電流値が観測された。以上から, 溶存酸素還元反応に伴って生成する可能性のある過酸化水素は電極近傍に蓄積されることなく, 容易に還元されることが示された。
以上から, チタンおよびチタン合金ともに, 過酸化水素は開路電位付近から還元され, その還元挙動は試験溶液のイオン組成によって異なることが示された。