抄録
患者自身の持つ自己組織再生能と組織工学的手法を応用し, 患者の先天的または後夫的な組織や機能の欠損を代償しようとする再生医療が注目されている. その際に用いられる足場材料の開発が盛んに行われているが, 生分解性高分子であるポリ乳酸を素材として用い, 多孔質体を作製する様々な方法が報告されている. 我々は, 前回までに熱分解型発泡剤を併用した押出発泡法を応用し多孔質体作製を行う, 有機溶媒を使用しない新しい生分解性ポリ乳酸多孔質足場材料の作製法を報告してきた. しかし, この方法により作製された多孔質体は, 独立気泡がやや多く, 気孔相互の連通化については改善の余地を残していた. そこで, 発泡核剤として種々の材料を検討したところ. 水分を保持したI型コラーゲン粉末が連通化率の向上に極めて有効であることを見いだした. また. この現象は他の水分担体を発泡核剤として用いた場合でも認められたので, それらの結果を併せて報告する.
このように, 押出発泡法によってポリ乳酸多孔質体を作製する際には, 水分導入用担体の種類によらず大きな発泡体倍率と吸水率を示す至適水分導入量が存在することが明らかとなった. これらの結果より, ポリ乳酸製多孔質体中の気孔の連通化率向上には作製過程での水分の導入と制御が極めて有効であり, かつ水分導入用担体の種類に依存しないことが示唆された. ただし, 生体材料ということを考慮すると, コラーゲンの方が適切であると考えられる.