抄録
近年、高齢化社会において骨粗鬆症は深刻な問題の一つである。骨粗鬆症は、閉経後の女性に認められる閉経後骨粗鬆症と、より高齢の男女に認められる老人性骨粗鬆症に分類される。前者は主として閉経後15∼20年以内の女性に多く認められる骨粗鬆症で、その原因としては閉経によるエストロゲンの低下によるものであり、それにより骨代謝は亢進し、骨吸収、骨形成共に促進される。しかしながら、このうち骨吸収の増加が骨形成のそれに比べて著しいため、結果的に閉経により骨量は減少する。一方、後者は骨代謝の低下がその病因と考えられている。その発症機序は不明な点が多いが、加齢に伴う腎での1.25(OH)2D産生の低下、これに伴う腸管Caの吸収低下などもその病因の一つと考えられている。現在、骨粗鬆症の予防には、最大骨量を高めることと共に、骨量を維持するため、生涯に亘り十分なCaを摂取する必要があることが指摘されている。Caの骨粗鬆症に対する影響は多くの研究があり、閉経後女性のCa摂取量と骨量との間には正の相関関係があることが知られている。しかし、閉経後女性のCa摂取は骨量減少を緩和するが、完全には抑制しない。それはCa以外のミネラルも骨代謝に影響を与えるためである。Mgは骨代謝への関与が示唆されているミネラルの1つであり、卵巣摘出ラット骨粗鬆症モデルヘの通常の3倍量のMg補給により、骨吸収マーカーであるdeoxypyridinoline(D-Pry)およびPTHは低下し、骨形成マーカーであるosteocalcinが増加することが報告されている。そこで当研究室はCa、Mgを主成分とした苦灰石系鉱物の一つであるDolomiteに注目した. 本実験は、Dolomiteの骨への影響を、卵巣摘出ラット骨粗鬆症モデルを用いて検討することを目的とした。
今回の実験では、尿中D-pry値、骨強度試験、組織学的観察からはDolomite投与による骨粗鬆症状態からの回復は見られなかったが、骨形成マーカーであるosteocalcin、さらに1, 25(OH)2D3の上昇が見られた。In vivoにおいて、1, 25(OH)2D3製剤の投与は骨量の増加に働くことより、1, 25(OH)2D3の上昇を伴うDolomiteの効能は骨量を維持する方向へ働く可能性が示唆された。