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我々はチタン基板上に電気化学的に配向した針状アパタイトを合成し, 生分解性ポリ乳酸グリコール酸共重合体と複合することにより厚さ約50μmの配向アパタイト含有生分解性膜を調製した. 第38回歯科理工学会において本複合膜をラット皮下組織に埋入し, 生体内で緻密に配向した針状結晶のアパタイトが保持され, 軟組織に対して良好な親和性を有することを報告した. 今回は, 疑似体液中に配向アパタイト含有生分解性膜を浸漬し, 物性の変化および崩壊の過程, また, 含有するアパタイトの経時変化について評価したので報告する。
以上の結果より, アパタイトを含有したポリ乳酸グリコール酸共重合体膜はアパタイトを含まない膜と比較してSBF中での崩壊速度が大きくなる傾向を示した. 一方, アパタイトの結晶性および組成に変化は認められなかった.