抄録
チタンをそのままインプラントとして埋入するのではなく, 培養液を用いて歯根膜細胞を付着·増殖させてから補綴対象部に埋入する再生歯科医療の試みが注目されている1). また, チタン表面にアルカリ熱処理を施すと-OH基に富んだチタン酸ナトリウム層が形成され, 人工体液中や生体内でアパタイトを析出し, 骨系組織の再建に資すると報告されている2). そこで本研究では, アルカリ熱処理チタンを人工体液と2種類の培養液に浸漬し, 表面構造を走査型電顕(SEM), 薄膜X線(TF-XRD)とX線光電子分光(XPS)によって解析した.
(1)アルカリ熱処理チタン(AH-Ti)にアパタイト層を形成させるのに最も効果的な溶液は無機イオンから構成される人工体液であり, アミノ酸やビタミンを配合するMEM培地はアパタイトの析出挙動を抑制した. (2)骨系分化を誘導するリン増量α-MEM培地ではアルカリ熱処理チタン(AH-Ti)にアパタイト析出を起こせなかった。過剰のリンイオンと各種有機物質がアパタイトの核生成と成長を阻害したと考えられる.