抄録
近年、歯質へのフッ素の取込みによるう蝕抑制効果を期待して、フッ化物を添加した各種修復材料が多く用いられている。当教室でも、グラスアイオノマーセメント、コンポジットレジン、コンポマー、レジンボンディング材等のフッ素含有修復材料について、そのフッ素イオンの溶出量、エナメル質あるいは象牙質へのフッ素イオンの取込み並びにその歯質耐酸性に及ぼす影響などについて検討を行い、これまで、本学会において報告してきた。しかしながら、フッ素徐放性コンポジットレジン修復時の、窩縁歯質耐酸性に及ぼす影響については未だ不明な点が多い。そこで本研究では、フッ素徐放性光重合型コンポジットレジン修復時の、エナメル質および象牙質窩縁部について、人工脱灰時における経時的変化を、走査型共焦点レーザー顕微鏡(LSM: Laser Scaninning Microscope、OLS1100: オリンパス社製)にて観察し、更に、波長分散型X線マイクロアナライザー(EPMA8705、島津製作所製)を用いて、フッ素を中心とした元素分析を行ったので報告する。
これらの所見より、フッ素徐放性コンポジットレジン材料は、フッ素イオンの歯質への取込みによって、特に窩洞周囲歯質の耐酸性の向上に効果的であると考えられる。