2006 年 46 巻 2 号 p. 151-154
背景.小細胞肺癌の標準的治療は元来,放射線化学療法で,外科的治療の役割は限定的であるとされてきた.症例.44歳男性.主訴は血痰.右下葉に約4 cmの腫瘤と縦隔リンパ節の腫大を認める限局型小細胞肺癌(cT2N2M0,stage 3A)に対し同時化学放射線療法(cisplatin+etoposide+45 Gy)の後,cisplatin+etoposide+irinotecan療法3コースを行い,CRとなった.20カ月後に局所再発を認めたので,cisplatin+irinotecan療法1コース投与し,再びCRを得,さらに1コースを追加した.本例に対し再発までの期間が比較的長いこと,再発部位が限局していることから,右中下葉切除を実施したところ,切除標本にviable cellを確認した.切除後は再発なく4年間生存中である.結論.本例は小細胞肺癌の再発症例に対するサルベージ手術に意義を認めた症例である.