2006 年 46 巻 3 号 p. 195-198
目的.悪性胸膜中皮腫(MPM)に対する胸膜肺全摘術(EPP)の妥当性を検討した.対象.1993年より11年間に当院で診断されたMPM 37例のうち手術症例10例を対象とした.結果.10例は全例男性で,平均年齢は61.5歳,組織型は上皮型3例,二相型1例,線維形成型6例であった.International Mesothelioma Interest Group(IMIG)分類によるI期9例,III期1例であった.術後観察期間は1~42ヶ月であり,1例が術後6ヶ月目に特発性心筋症にて,1例が13ヶ月目に腫瘍死した.8例は無再発生存中である.全症例の手術例と非手術例の二年生存率は67.5%,22.5%で有意差を認めた.I期症例では,手術症例の3年生存率は85.7%であった.結語.EPPは症例を選べば,MPMの治療法として評価すべき治療手段と考えられた.