肺癌
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原著
肺野末梢型病変に対するMRI診断の有用性
田中 良太堀越 浩幸中里 宜正吉野 麗子飯島 美砂呉屋 朝幸湊 浩一
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2006 年 46 巻 3 号 p. 199-205

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抄録

背景.肺野末梢型病変に対してCTによる画像解析のみでは正診率が低く,治療方針を決定するには未だ十分であるとはいえない.我々はさらなる質的診断の向上を目指してMRIを利用している.対象と方法.2005年4月から12月までに当センター呼吸器外科において手術を施行した75症例のうち,術前にMRIを施行した肺野末梢型病変43例を対象とした.疾患の内訳は悪性病変37例(原発性肺癌30例,転移性悪性腫瘍7例),非悪性病変6例である.使用シーケンスはSTIR法,呼吸同期下高b値拡散強調画像(DWI),ダイナミックスタディーである.なおSTIR,およびDWIは4段階にスコア化して視覚的に評価した.結果.良悪の鑑別に関する検討ではDWIで中等度以上の信号(スコア3以上)が悪性病変で81.1%(37例中30例),非悪性病変で33.3%(6例中2例)であり悪性病変において有意に高頻度であった.DWIスコアが3以上,もしくはダイナミックスタディーによるtime-intensity curveで急峻な立ち上がりを示した病変を陽性と判定するとsensitivityが86.5%,specificityが66.7%,accuracyが83.7%であった.偽陰性5例すべてが小型肺腺癌で,病理学的に浸潤傾向の乏しい病期IA期の症例であった.結語.肺野末梢型病変に対する高b値拡散強調画像はNoguchi分類のType AまたはBのような悪性度の低い癌を選別するのに有用であると思われる.

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© 2006 日本肺癌学会
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