肺癌
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原著
肺がん検診で発見された肺がんの臨床的検討―発見方法の違いによる比較―
笹野 進鳥居 陽子大貫 恭正
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2007 年 47 巻 1 号 p. 21-25

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抄録

目的.肺がん検診で発見された肺がんについて検討した.対象と方法.1998年度から2005年度までの8年間に当施設で実施した,胸部X線検査と喀痰細胞診併用による肺がん検診の受診者数は延べ53427名で,42例の肺がんが発見された.42例を胸部X線検査による発見群,喀痰細胞診による発見群,両方による発見群の3群に分類し,臨床的特徴を比較した.結果.胸部X線検査による発見群28例,喀痰細胞診による発見群5例,両方による発見群9例であった.3群間で,平均年齢に有意差はなく,男女比に有意差を認めた.Brinkman Indexは喀痰細胞診による発見群で有意差はないが高かった.平均腫瘍径は胸部X線検査による発見群2.8±1.3 cm,喀痰細胞診による発見群0.7±0.3 cm,両方による発見群4.5±2.2 cmで有意差を認めた.臨床病期IA期の割合は胸部X線検査による発見群53.6%,喀痰細胞診による発見群100.0%,両方による発見群22.2%で有意差を認めた.切除率,完全切除率はともに有意差はないが喀痰細胞診による発見群,胸部X線検査による発見群,両方による発見群の順に高かった.結論.胸部X線検査と喀痰細胞診併用による肺がん検診において,喀痰細胞診は早期の肺がんの発見に有用と考えられた.

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© 2007 日本肺癌学会
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