肺癌
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原著
最大径10 mm以下の肺野すりガラス状陰影経過観察における至適CT撮影間隔―肺癌手術後症例を含む62例の検討と提案―
平松 美也子稲垣 卓也稲垣 智也松井 啓夫佐藤 之俊奥村 栄石川 雄一中川 健
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2007 年 47 巻 1 号 p. 27-35

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抄録

目的.前癌病変や早期肺腺癌の薄切CT(thin section CT;TSCT)所見とされる均一な肺野限局性すりガラス状陰影(pure GGO)のうち,最大径10 mm以下の病変の経過観察における至適CT撮影間隔を検討した.対象と方法.1999~2004年に発見され,最大径10 mm以下のpure GGO病変を有し,TSCT撮影にて3ヵ月以上明らかな変化を認めなかった肺癌手術後症例28例を含む計62症例.6ヵ月ごとのTSCTによる観察結果からpure GGO累積変化確認率曲線を求め,背景因子(性別,年齢,喫煙歴,病変部位,数,肺癌とその他の癌既往)ごとに比較した.結果.7~79ヵ月(平均32ヵ月)の観察期間中,62例中10例のpure GGOが変化した.このうち9例に肺癌既往歴があり,累積変化率は肺癌既往の有無で分類した2群間においてのみ有意差を示した(p=0.0018).また充実性部分の出現は,うち2例の肺癌既往例にのみ認められた.変化例の各変化確認時期は肺癌既往例では7~24ヵ月目に集中し,一方検診発見の1例は48ヵ月を過ぎるまで変化を認めなかった.結論.肺癌既往のある症例のpure GGOの経過観察は,既往のない症例より観察開始から24ヵ月間に変化を来す可能性が高かった.故に,前者のpure GGOに対し,経過観察2年目までは半年ごとのTSCT撮影が必要と考えた.

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© 2007 日本肺癌学会
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