肺癌
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症例
原発巣不明肺悪性黒色腫の1例
岡本 珠紀庄司 剛板東 徹高橋 剛士和田 洋巳
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 47 巻 1 号 p. 53-57

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抄録

肺病変によって発見された,原発巣不明の悪性黒色腫の1例を経験したので報告する.症例.50歳男性.検診にて胸部異常陰影を指摘された.胸部CT上両肺に多発結節影を認められたため精査目的で当院に紹介された.右開胸肺生検を行い,術中迅速病理診断で腺癌の診断であったため右上葉切除を施行した.術後永久標本での病理診断にて悪性黒色腫と診断された.翌月左肺結節に対して肺部分切除施行,2ヶ所の結節から悪性黒色腫の診断を得た.術後再度全身検索を行ったが原発巣を確認できなかった.しかし約10年前爪が黒色変性し,自然消退した既往があったため,その部分が原発であった可能性がある.術後DAV-Feronにて化学療法を施行したが,左肺切除5ヶ月後に肺・肝・椎体に転移巣が出現し,現在も治療継続中である.結論.肺病変によって発見された原発巣不明の肺悪性黒色腫の1例を経験した.肺原発の悪性黒色腫は非常にまれであり,また悪性黒色腫は原発巣が自然消退する頻度が高いため,原発巣の入念な検索が必要である.

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© 2007 日本肺癌学会
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