肺癌
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症例
多形癌の3例
荒牧 竜太郎久良木 隆繁白石 素公白日 高歩鍋島 一樹渡辺 憲太朗
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2007 年 47 巻 1 号 p. 59-64

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抄録

背景.多型癌は,1999年のWHOによる肺癌の組織学的再分類に伴い,新たに提唱された肺癌の組織型のひとつである.かつて大細胞癌に分類されていた癌もかなり含まれていると考えられる.症例.52歳男性(症例1),76歳男性(症例2),80歳女性(症例3)の3例を報告する.前2例は胸壁に浸潤する大きな腫瘤を形成しており,大細胞癌を基礎として巨細胞や紡錘細胞を伴う喫煙男性の多型癌であった.症例3は喫煙歴のない女性に発症した多型癌であり,主腫瘍径が2.5 cmで組織学的に腺癌に紡錘細胞を伴っていた.症例2は化学療法が無効で急速に進行し診断後約2ヵ月で死亡した.症例1と症例3は外科的に切除した後で化学療法を行い,術後11ヵ月,5ヵ月の時点で再発はない.症例1は術前の末梢血白血球やCRPの著明な上昇に加えG-CSFが上昇しており,それらが切除後に全て正常域になったことからG-CSFを産生する多型癌と考えられた.結論.多型細胞癌は頻度の少ない稀な肺癌であるにもかかわらず組織学的に多様な肺癌である.今後も症例を集積して,組織学的多様性を加味して臨床的特徴を整理する必要がある.

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© 2007 日本肺癌学会
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