肺癌
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症例
内視鏡的治療により切除された孤立性気管支乳頭腫(扁平上皮腺上皮性混合型)の1例
冨地 信和小野 貞英八重樫 弘守 義明宇部 健治佐々島 朋美
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2011 年 51 巻 7 号 p. 803-808

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抄録

背景.気管支の孤立性乳頭腫は比較的稀な上皮性良性腫瘍であるが,その中で扁平上皮腺上皮性混合型乳頭腫は極めて稀で,これまで文献的に自験例を含めて13例の報告しかみられない.孤立性気管支乳頭腫の治療としては,これまで主に外科的切除術が実施されている.症例.84歳,女性.検診の胸部X線写真で右中肺野に異常陰影を指摘され,当院を受診.胸部CT画像では右肺S3に部分的無気肺と右主気管支内腔に突出する腫瘤陰影が認められた.気管支内視鏡検査では,中間幹の内腔にポリープ状の腫瘍が認められ,生検組織で混合型乳頭腫と診断された.腫瘍内における悪性化の合併の有無を検索するために,高周波スネアと半導体レーザーを用いて内視鏡的に腫瘍を切除した.摘出された腫瘍の病理組織学的検査で悪性化はみられず,孤立性気管支乳頭腫(扁平上皮腺上皮性混合型)と診断が確定できた.なお,免疫染色でヒトパピローマウイルスは陰性であった.内視鏡的治療後,2年6ヶ月の現在再発はみられない.結論.内視鏡的治療により切除された孤立性気管支混合型乳頭腫の1例を報告した.高周波スネアと半導体レーザーを用いての内視鏡的治療は,孤立性気管支乳頭腫に対して有用な治療法の1つと思われる.

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© 2011 日本肺癌学会
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