肺癌
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症例
CEA高値を示し,肺癌との鑑別が困難であった肺放線菌症の1例
大薗 慶吾井上 政昭久保井 礼城戸 優光中西 良一
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キーワード: 肺放線菌症, CEA, PET, 肺癌
ジャーナル オープンアクセス

2011 年 51 巻 7 号 p. 809-813

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抄録

背景.肺放線菌症は,口腔内や消化器の常在菌である嫌気性細菌Actinomyces israelii によって引き起こされる慢性化膿性肉芽腫性疾患であり,画像診断上,肺癌との鑑別が困難なことが多い.症例.61歳女性.血痰を主訴に受診した.胸部CTで右S2に空洞を伴う腫瘤性病変を認めた.気管支鏡下洗浄細胞診ではclass II,擦過細胞診でもclass IIであり悪性所見は認められなかったが,腫瘍マーカーはCEA 11.7 ng/mlと高値であり,PET-CTでもSUVmax 6.11と肺癌を除外できず血痰も続いていたことから,診断と治療を兼ねて,胸腔鏡下右肺上葉切除術,縦隔リンパ節郭清術(ND2a)を施行した.その結果,病理検査所見により肺放線菌症と判明した.結論.適切な治療を行うために手術などの侵襲的診断法も念頭におくことが重要と考えられる.

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© 2011 日本肺癌学会
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