2013 年 53 巻 6 号 p. 803-808
背景.原発性肺癌で極めて稀な,松果体転移を示した1例を経験したため報告する.症例.68歳女性.頭痛,嘔吐,意識障害が契機となり,松果体腫瘍,胸部異常陰影を指摘された.確定診断と症状改善目的に,内視鏡下第三脳室開窓術,生検を行った.腫瘍組織は,HE染色で小型の核と繊細な核クロマチンを有する,細胞質に乏しい異型細胞を認めた.免疫染色の結果と合わせて,肺原発小細胞癌の松果体への転移と診断した.放射線治療,化学療法を行い,肺病変,頭蓋内病変ともに著明な縮小を認めた.結論.極めて稀な,松果体に転移した小細胞肺癌の1例を経験した.