肺癌
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症例
完全内臓逆位症に発生した肺扁平上皮癌の1手術例
中川 正嗣寺町 政美
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 53 巻 6 号 p. 799-802

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抄録

背景.完全内臓逆位症は,10,000人あたり1~2人にみられる常染色体劣性遺伝の奇形であり,原発性肺癌合併の報告例は少ない.症例.76歳,完全内臓逆位症の男性.近医で胸部異常陰影を指摘され,紹介されてきた.右肺S9に2.5 cm大の腫瘤陰影を認めたが,確定診断が得られず,胸腔鏡下生検を行うことにした.3D-CT angiographyを行って,肺動脈分岐様式を確認した上で手術を行った.気管支ブロッカーによる分離肺換気下に,穿刺吸引細胞診で非小細胞肺癌と診断し,胸腔鏡下右下葉切除・リンパ節郭清術を施行した.最終の病理診断は低分化扁平上皮癌,pT1bN0M0 Stage IAであった.結論.完全内臓逆位症に対する肺切除術において,肺動脈の分岐形態の把握には3D-CT angiographyが,また分離肺換気には気管支ブロッカーが有用である.

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© 2013 日本肺癌学会
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