抄録
背景.肺胞上皮置換型肺腺癌は,肺炎と鑑別が困難なことがあり,膿胸などの感染症を合併すると,肺炎と肺癌の判別はさらに難しくなる.症例.境界型糖尿病をもつ45歳の男性が,3ヶ月前より続く咳嗽と発熱を主訴に医療機関を受診した.胸部X線で,両側の浸潤影と右側の胸水貯留を認め,胸水検査で膿を確認した.低酸素血症も合併し,細菌性肺炎と膿胸の診断で入院となった.胸腔ドレナージと抗菌薬治療により,発熱と炎症所見は改善したものの,呼吸困難と両側の浸潤陰影は改善しなかった.原発性肺癌の存在を疑い,気管支鏡検査を行い,上皮成長因子受容体遺伝子の変異をもつ肺胞上皮置換型優位の肺腺癌と診断した.ゲフィチニブを内服し,酸素化と胸部X線上で肺の透過性は改善した.結論.肺炎の治療で,抗菌薬が奏効しない場合は,肺胞上皮置換型肺腺癌の合併を考慮する必要がある.