抄録
背景.echinoderm microtubule-associated protein-like 4(EML4)-anaplastic lymphoma kinase(ALK)融合遺伝子陽性の肺癌症例に対してcrizotinibが有用である.一方,治療目的に投与された薬剤が原因で様々な消化管障害を来すことがある.症例.46歳,女性.胸部CTで中間気管支幹に縦隔リンパ節(#7,#8)と一塊となる腫瘤像と右中下葉無気肺像を認め,肺腺癌,cT4N3M1b stage IVと診断した.化学療法4クールと放射線療法により部分奏効(PR)と判定した.その後,頚部・腹部リンパ節,肺,肝,骨転移で再発した.後日,病理組織でALK融合遺伝子陽性と判明した.crizotinib開始10日目に嚥下痛と胸骨後部痛が出現し,治療15日目に上部消化管内視鏡検査で食道炎を認め,crizotinibを一時休薬した.食道炎改善後,治療36日目にcrizotinibを再開したが,治療49日目に食道炎が再発し中止した.治療57日目に食道炎は改善した.結論.crizotinibによる食道炎を発症した肺腺癌の1例を経験した.