肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
症例
EGFR陽性肺癌とALK陽性肺癌が併存した同時性多発肺癌の2例
後藤 英典上原 浩文齋藤 雄一元井 紀子石川 雄一奥村 栄
著者情報
キーワード: ALK, EGFR, 同時性多発肺癌
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 54 巻 3 号 p. 146-152

詳細
抄録

背景.Anaplastic Lymphoma Kinase(ALK)融合遺伝子をもつ肺癌とEpidermal Growth Factor Receptor(EGFR)の変異をもつ肺癌の同時性多発肺癌の切除例は稀であり,癌発生や治療の観点から興味深いので,今回我々は2例を報告する.症例1.61歳女性.左乳癌術後フォロー中,胸部CTで左上葉腫瘤影と左下葉結節影が指摘された.左上葉肺癌と左下葉肺癌の重複癌と診断し,左肺全摘+リンパ節郭清を施行した.遺伝子検査で左上葉がEGFR陽性,免疫組織化学的検査(IHC)で左下葉がALK陽性であった.症例2.56歳女性.検診で右S2に異常影を指摘された.気管支鏡検査で肺腺癌,cT2aN2M0 stage IIIAの診断となった.術前化学療法後に右上葉切除術+リンパ節郭清を施行した.IHCでS2病変はALK陽性であり,またS1にEGFR陽性の重複癌を認めた.結論.多発性肺腫瘍の切除検体にEGFR肺癌とALK肺癌が併存した2症例を経験した.多発癌においては異なる遺伝子変異をもつ可能性を念頭に置く必要がある.

著者関連情報
© 2014 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top