背景.結節性硬化症に合併する呼吸器症状としてmultifocal micronodular pneumocyte hyperplasia(MMPH)やpulmonary lymphangiomyomatosis(LAM)が知られている.今回,我々は結節性硬化症に合併したMMPHを背景に伴う肺腺癌の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
症例.69歳女性.13歳時に結節性硬化症と診断,21歳時より胸部異常影を指摘されていた.69歳時に精査を勧められ,当院へ紹介となった.胸部CTでは右S
3にspiculaを伴う結節影を認め,両側肺野に多数の微小結節が散在していた.FDG-PET/CT検査では右S
3の結節にのみ集積を認め,原発性肺癌cT1aN0M0(IA)と診断,右S
3区域切除術を施行した.病理組織診断で腺癌と診断した.また,周囲の微小結節はMMPHに相当する病変と考えられたが,一部は細気管支肺胞上皮癌に相当した.術後3年の時点で無再発であるが,CEAが斬増しており,厳重に経過観察している.
結論.
TSC遺伝子が肺腺癌発現に関わっている可能性があり,今後さらなる検討が必要である.
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