抄録
背景.富細胞性神経鞘腫は,組織学的に細胞密度の高いAntoni Aの組織を主体とした腫瘍である.症例.65歳女性.主訴は腰痛.胸部CTで右肋骨横隔洞に局在する12 cm大の巨大腫瘤影を認めた.FDG-PETでFDG高度異常集積を認めたため悪性腫瘍を疑われ,腫瘍摘出術を施行された.腫瘍は表面平滑で被膜に包まれ,椎体と下行大動脈に強く固着していた.組織学的に,紡錐形細胞が密に増殖し,一部にfoamy macrophageの集簇を認めた.免疫染色はS-100蛋白陽性,Ki-67標識率は低値であり,富細胞性神経鞘腫と診断した.結論.肋骨横隔洞に発生した巨大富細胞性神経鞘腫の1例を報告した.細胞密度が高い本症例では,FDG-PETでの高度集積を認め,軟部腫瘍系の悪性腫瘍との鑑別を要した.