目的.がん患者は化学療法の副作用に対する不安(副作用の不安)を感じていることが多く,それを和らげることが必要である.服薬指導は,安全・安心かつ良質な薬物療法を確保するために,薬剤師に義務づけられている.しかし,服薬指導が副作用の不安に与える影響について報告されたものは少ない.服薬指導が副作用の不安に及ぼす影響について検討した.方法.2015年11月~2016年12月に岐阜市民病院で化学療法のために入院し,薬剤師の服薬指導を受けた肺癌患者46名を解析の対象とした.副作用の不安と化学療法の理解度などについて比較するため,服薬指導前後で自記式のアンケート調査を行った.多変量解析で副作用の不安軽減に関連する因子を検討した.結果.服薬指導前後で副作用の不安は有意に軽減した(p<0.01).多変量解析では,「副作用発現時の対処法の理解度が増加」(オッズ比;0.056,95%信頼区間;0.007~0.471,p=0.008)が副作用の不安軽減に関連する因子として同定された.結論.肺癌患者が服薬指導により副作用発現時の対処法について理解を深めることは,副作用の不安の軽減と関連することが示唆された.