2022 年 69 巻 p. 80-84
近年,ネギハモグリバエ別系統が茨城県のネギ生産ほ場において甚大な被害をもたらしているが,効果的な薬剤に関する知見は限られている。そこで,県内のネギほ場から 4 個体群のネギハモグリバエ別系統の成虫を採集し,産卵させ,孵化した幼虫に対する 17 種薬剤の殺虫効果を薬剤浸漬試験により検討した。その結果,チアメトキサム水溶剤およびスピネトラム水和剤,アバメクチン乳剤,チオシクラム水和剤,シアントラニリプロール水和剤が全ての個体群に対し高い殺虫効果を示した。エマメクチン安息香酸塩乳剤およびフルキサメタミド乳剤は高い殺虫効果を示す個体群が確認された一方で,その効果が劣る個体群も確認された。また現地ほ場における 5 種 薬剤の散布試験では,チアメトキサム水溶剤が最も高い防除効果を示したが,発生が多くなる,または発生開始から時間が経過し,卵,各齢期の幼虫,蛹,成虫の各発育段階が混在する時期であったので防除価は高くなかった。今後は,被害が多発する時期に防除効果の高い薬剤を定期的に散布する防除体系の確立が求められる。