肺癌
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症例
ペムブロリズマブ投与後に心嚢ドレナージを要した非小細胞肺癌4例の検討
酒井 祐輔中尾 心人荒川 総介鈴木 悠斗藤田 浩平村松 秀樹
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2019 年 59 巻 5 号 p. 482-486

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抄録

背景.ペムブロリズマブ投与後に,pseudo-progressionやmixed responseなどの反応パターンを示しながら心タンポナーデを発症した症例の報告は少ない.当院にてペムブロリズマブ投与後に心タンポナーデを呈し,心嚢ドレナージを施行した症例を4例経験した.症例.症例は67~79歳のIV期非小細胞肺癌患者で腺癌が3例,扁平上皮癌が1例であった.ペムブロリズマブ投与後,4例中2例は原発巣縮小を維持しながら心嚢水のみ増悪を認めた.1例は心嚢水が増加する一方で,同時期に原発巣が縮小しており,mixed responseを示した.残りの1例は原発巣増大とともに心嚢水が増加し,心嚢ドレナージ後の経過観察中に原発巣の縮小を認め,心嚢水の再貯留もなかったことからpseudo-progressionを起こしたと考えられた.4例中3例でペムブロリズマブ投与前に心嚢水の貯留を認めていた.結論.ペムブロリズマブ投与後に著明な心嚢水貯留を認めた症例を4例経験した.貴重な経験と考え,報告する.

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© 2019 日本肺癌学会
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