2019 年 59 巻 7 号 p. 1162-1166
背景.免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブは,非小細胞肺癌に対する有効性が認められているが,免疫関連副作用として肺障害を認めることがある.症例.49歳,男性.右上葉肺化膿症発症時の胸部CTで,左下葉気管支閉塞と縦隔リンパ節腫脹を認めた.精査の結果,左下葉原発肺扁平上皮癌(cT1bN3M0 stage IIIB,tumor proportion score:TPS 90%)と診断し,初回治療でペムブロリズマブを開始した.投与開始後8日目より右上葉に残存していた肺化膿症後の器質化陰影周囲のすりガラス影が出現したため,気管支鏡検査による精査を行い,気管支肺胞洗浄でリンパ球比率の増加,経気管支肺生検でリンパ球主体の炎症細胞浸潤を認め,ペムブロリズマブによる感染後器質化肺炎増悪と診断した.休薬後に陰影が改善したためペムブロリズマブを再投与したが,薬剤性肺障害の再燃はなく,良好な腫瘍抑制効果を得ることができた.結論.ペムブロリズマブ投与により一時的に器質化肺炎の増悪を認めたものの,その後良好に改善し,再投与により原疾患のコントロールを得ることができた.