2020 年 60 巻 7 号 p. 1007-1011
背景.免疫チェックポイント阻害薬では一部の症例で長期奏効例がみられる.しかし,薬剤性肺障害などの免疫関連有害事象も遅発性に生じうる.症例.患者は71歳の男性.2年前から左下葉原発肺腺癌に対してペムブロリズマブを投与され,病変はほぼ消失した.胸部CTで左肺の上葉と下葉に新規陰影が出現し,気管支鏡にて左上葉病変から腺癌細胞を検出した.ペムブロリズマブ休薬後も浸潤影の拡大を認めたため,ステロイド薬を開始したところ,左上葉結節影を除いて浸潤影はほぼ消退した.肺癌再発と遅発性薬剤性肺障害を同時に生じたと考えられた.結論.画像所見だけでは肺癌再発と薬剤性肺障害の鑑別が難しいことがあり,気管支鏡検査による病理学的検討やステロイドへの反応性などを参考にして慎重に判断する必要がある.