肺癌
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原著
中皮腫発症に伴う労災保険制度の申請における医師の役割と課題
福神 大樹影山 小百合小丸 可奈子中島 喜章藤原 妙子山中 伸治鈴木 江郎松島 恵一右田 孝雄
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2022 年 62 巻 7 号 p. 983-988

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抄録

目的.中皮腫患者は労災保険制度の申請ができる.しかし職業ばく露の評価は医師の負担になっており,石綿ばく露調査の体制において現場の医師の対応は明らかにされていない.方法.中皮腫患者90名に対して質問紙調査を行い,労災保険制度の申請(認定)を目的変数とし,「医師の対応」3項目と「労災保険制度の申請理由」5項目を説明変数としてステップワイズ法による回帰分析を行った.結果.患者は医師からの相談窓口への紹介が増加した場合,労災保険制度申請の増加がみいだされた(b=0.276,t[88]=2.336,p=0.021,β=0.242).また患者会からの助言・指摘が増加した場合も労災保険制度申請の増加がみいだされた(b=0.569,t[88]=5.373,p<0.05,β=0.497).結論.労災保険制度の申請には医師が患者に対して相談窓口に紹介することが重要であり,医療機関における相談支援体制を整え,患者会と連携を深めることが課題である.

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© 2022 日本肺癌学会
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