肺癌
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症例
高齢者G-CSF産生肺癌に対する手術切除によりPSが改善した1例:症例報告
原 大輔山田 響子近藤 竜一
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 64 巻 1 号 p. 34-38

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抄録

背景.Granulocyte colony-stimulating factor(G-CSF)の産生を伴う肺癌は一般に予後不良とされているが,手術切除により腫瘍随伴症状が消失しperformance status(PS)の改善につながる可能性がある.症例.89歳,女性.主訴は発熱,易疲労感,息切れでPS 2相当であった.右肺下葉に7.9×5.0 cmの充実性腫瘤を認め,血液検査上,WBC 17810/μl,血清G-CSF 211 pg/mlと高値でG-CSF産生肺癌を疑い手術を施行した.胸腔内に播種や癌性胸水を認めず根治的切除が可能と判断した.第5肋間開胸アプローチの上,腫瘍が中間気管支幹に進展しており中葉の温存は不可能と判断し,中下葉切除とした.切除検体のG-CSF染色は一部の腫瘍細胞の細胞質に陽性であった.術後の血清G-CSFは著明に低下を認めた.結語.今回高齢ながら完全切除により解熱がえられ術後PS 1相当まで改善された症例を経験した.G-CSF産生肺癌は腫瘍自体がG-CSF増殖因子として働くとの見地から可能な限り切除が望まれる.

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© 2024 日本肺癌学会
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