肺癌
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症例
胸腺腫術後再発治療後に難治性下痢症として発症したGood症候群の1例
堀口 寿里安大竹 宗太郎福冨 寿典小山 孝彦
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2024 年 64 巻 1 号 p. 50-54

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抄録

背景.Good症候群は胸腺腫に免疫不全を合併するまれな疾患であり,本邦では胸腺腫の0.2~0.3%に合併すると報告されている.症例.52歳,男性.X年,胸腺腫に対して拡大胸腺胸腺腫摘出術を施行し,病理検査で浸潤性胸腺腫と診断した.X+11年にcomputed tomographyで胸膜播種が疑われる所見を認めた.化学療法を実施後,X+15年に播種巣切除術を施行し,胸腺腫の播種と診断した.術後経過は良好であったが,術後4カ月目から1カ月で5 kgの体重減少を伴う慢性下痢症が出現した.精査で下痢の原因は特定できず,整腸剤や止痢剤で治療したが遷延した.偶発的に発見された早期食道癌に対して内視鏡的粘膜下層剥離術後に誤嚥性肺炎・敗血症を発症した.精査で低γグロブリン血症,B細胞の著明な減少とCD4陽性T細胞の減少を認め,Good症候群と診断した.免疫グロブリンの投与を開始したが,Good症候群の診断から5カ月後,肺炎から敗血症に至りX+16年に永眠された.結論.慢性下痢症はGood症候群の半数に見られる症状であり,Good症候群を遅滞なく診断できるよう念頭に置く必要がある.

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© 2024 日本肺癌学会
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