肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
肺燕麦細胞癌の細胞診断
松田 実宝来 威服部 正次
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 12 巻 3 号 p. 157-169

詳細
抄録

組織学的に確認された燕麦細胞癌33例を対象とし, 喀痰, 気管支擦過物, TV-ブラシュ法により細胞診断を施行し, 100%の陽性率をえた. 本腫瘍細胞は核の大小不同が著明であるが大多数の症例において, 核径11μ以上の大型細胞が混在していた. またヘマトキシリンに濃染する核と淡染する核がみられ, 後者の方が早く変性すると考えられる. 位相差顕微鏡で観察したもっとも新鮮な癌細胞は, 核縁が均一でクロマチンは細網状であるが, 気管支鏡あるいはTV-ブラシュ法でえた癌細胞では, 約30%に変性クロマチンを混じていることから, 本腫瘍細胞は生体内で早くから変性をおこすことを示している. さらに本腫瘍のタッチプレパラートと, 気管支carcinoidおよびneuroblastomaのそれと比較した結果, 二者間に共通の性格をみいだした.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top