肺癌
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P-N2III期肺癌切除例の検討
西山 祥行高橋 健郎西村 光世山下 眞一川名 英世林辺 晃児玉 哲郎西脇 裕阿部 薫
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1991 年 31 巻 2 号 p. 183-191

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抄録

1972年から1986年までの15年間に国立療養所松戸病院において, p-N2で相対的治癒切除の行なわれた77例について検討した.これらの5生率は23.2%であるが, 組織型およびT因子別では腺癌例はT115例中14例を占め, その5生率は29.5%と比較的良好であった.しかし, T2, T3の腺癌例の予後は不良で5年以上の生存例はなかった.一方, 扁平上皮癌例はT3, T4例に多く, その5生率は各々31.3%, 33.3%とT因子による差はなかった.
縦隔リンパ節転移部位別の予後では, 右上縦隔リンパ節転移例が左#4~#6リンパ節あるいは下縦隔リンパ節転移例に比べてやや不良であった.
リンパ節転移部位の数 (station number) と予後では, 1ヵ所のみの例が2ヵ所以上に転移のみられた例に比べて良好であり, 組織型では扁平上皮癌例にこの傾向が強く, 腺癌例ではその差がなかった.
リンパ節の転移様式ではperin0dalmetastasis例は21.1%と少なく, 組織型では扁平上皮癌例にやや多くみられたが, その予後はintranodaltypeに比べると有意に不良であった.

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