肺癌
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31 巻, 2 号
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  • 塩田 哲広, 小西 孝明, 千葉 渉, 安田 雄司, 松原 義人, 畠中 陸郎, 船津 武志, 池田 貞雄, 松本 久徳, 石神 文嗣
    1991 年 31 巻 2 号 p. 159-166
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    期肺癌で切除した115例のパラフィン切片を用いて, フローサイトメトリーにより癌細胞の核DNA量を測定した.得られたヒストグラムからDNAdiploidy, aneuploidy, multiploidyを判別した.DNAdiploidy群, aneuploidy群およびmultiploidy群の3群に分けてみた5年生存率は, それぞれ75.8%, 61.2%, 22.5%で, 各群の間に有意差がみられた (P>0.05).1期肺癌における癌細胞の核DNA量の解析は予後判定に有用であり, 特にDNAmultiploidy群の予後は極めて不良であった.
  • 抗癌治療症例との比較
    永田 忍彦, 高山 浩一, 石橋 凡雄, 重松 信昭, 居石 克夫
    1991 年 31 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌無治療剖検症例36例と抗癌治療症例204例の生存期間, 剖検時の腫瘍の拡がり, 背景因子について比較検討した.抗癌治療群の生存期間は無抗癌治療群よりも有意に延長していた.抗癌治療群ではX線発見例の生存期間のほうが自覚症状発見例よりも有意に延長していた.剖検時の腫瘍の拡がりは抗癌治療群のほうが無抗癌治療群よりも広範であった.背景因子の比較では無抗癌治療群のほうが年齢が高齢である以外には明らかな差はみられなかった.抗癌治療をしたほうが生存期間は延長するが, 死亡時の腫瘍の拡がりも広範であることが明らかとなった.
  • 米田 修一, 吉田 清一, 吉井 章, 野口 行雄, 砂倉 瑞良, 西村 仁志, 山本 光伸, 出雲 俊之
    1991 年 31 巻 2 号 p. 175-182
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    当初切除不能と判断された非小細胞性肺癌91例に対し, 放射線療法の前後にcisplatinを含む化学療法を併用し68例の奏効例が得られた.このうち10例 (IIIA期4例, IIIB期6例) に対し, 局所のコントロールを目的として切除術を行った.その結果, 組織学的に悪性細胞が消失していたのは4例に認め, 絶対的治癒切除7例, 相対的治癒切除3例であった.手術直後に死亡した1例を除き9例は術後18~55カ月で健在である.
  • 西山 祥行, 高橋 健郎, 西村 光世, 山下 眞一, 川名 英世, 林辺 晃, 児玉 哲郎, 西脇 裕, 阿部 薫
    1991 年 31 巻 2 号 p. 183-191
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1972年から1986年までの15年間に国立療養所松戸病院において, p-N2で相対的治癒切除の行なわれた77例について検討した.これらの5生率は23.2%であるが, 組織型およびT因子別では腺癌例はT115例中14例を占め, その5生率は29.5%と比較的良好であった.しかし, T2, T3の腺癌例の予後は不良で5年以上の生存例はなかった.一方, 扁平上皮癌例はT3, T4例に多く, その5生率は各々31.3%, 33.3%とT因子による差はなかった.
    縦隔リンパ節転移部位別の予後では, 右上縦隔リンパ節転移例が左#4~#6リンパ節あるいは下縦隔リンパ節転移例に比べてやや不良であった.
    リンパ節転移部位の数 (station number) と予後では, 1ヵ所のみの例が2ヵ所以上に転移のみられた例に比べて良好であり, 組織型では扁平上皮癌例にこの傾向が強く, 腺癌例ではその差がなかった.
    リンパ節の転移様式ではperin0dalmetastasis例は21.1%と少なく, 組織型では扁平上皮癌例にやや多くみられたが, その予後はintranodaltypeに比べると有意に不良であった.
  • 第1次研究: MMC+TegafurとMMC+UFTの比較試験
    寺松 孝, 人見 滋樹, 伊藤 元彦, 和田 洋巳, 岩 喬, 渡辺 洋宇, 山田 哲司, 山本 恵一, 龍村 俊樹, 山口 敏之, 岡田 ...
    1991 年 31 巻 2 号 p. 193-200
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    西日本地区の30施設の共同研究 [西日本肺癌手術の補助化学療法研究会] によりMMC+tegafur (A群) とMMC+UFT (B群) の2群による術後補助化学療法の比較試験 (randomizedcontrolledstudy) を実施し, 両群間の生存期間, 無再発期間, および副作用について検討した.絶対的治癒または相対的治癒切除の腺癌を対象とし, 224例が集積され, 適格率は80.8%であった.背景因子, 投薬状況に群間差は認めず, 3年生存率, 健存率にも群間差は認めなかった.しかし, 相対的治癒切除例やIII期症例ではB群が良好であり, N2症例では有意の差でB群が良好であった.
  • 赤荻 栄一, 三井 清文, 鬼塚 正孝, 藤原 明, 湯浅 洋司, 木下 朋雄, 小川 功, 中川 晴夫, 長谷川 鎮雄, 渕上 隆, 柳内 ...
    1991 年 31 巻 2 号 p. 201-206
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1985年から1988年までの4年間に喀痰検診で発見された57例の肺癌例を対象として診断と治療上の問題点を検討した.胸部X線有所見例は21例で, 無所見例は36例であった.胸部X線有所見21例中9例は, 検診時間接X線写真での見落とし例であった.従って喀痰細胞診により, 胸部X線上見逃され易い所見を有する肺癌が少なからず発見されていることが知られた.胸部X線無所見例中14例は気管支鏡的にも無所見で, そのうち7例が検査の途中で治療を拒否して退院した.気管支鏡無所見例のほとんどは末梢型早期気管支扁平上皮癌であった.切除標本により早期気管支扁平上皮癌と確定した症例は23例あり, その術後5年生存率を術前肺機能の程度別にみると, 肺機能正常例では100%,%VCあるいは1秒率が60%に満たない低肺機能例では35%であった.従って低肺機能早期気管支扁平上皮癌の手術適応には注意すべきである.
  • 谷尾 昇, 門倉 光隆, 高場 利博
    1991 年 31 巻 2 号 p. 207-214
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Fibronectin (FN) は癌との関連において注目されており, 断片化したFNが癌患者尿中に多量に出現していることを確認した.原発性肺癌患者57例を対象に尿中FN断片 (UFN) を測定しその有用性を検討した.UFN陽性率は他マーカーに比べ高値を示し, 組織型による特異性は認められなかった.病期別では癌進行とともに高値となりmonitoringmarkerとして有用であり, CEAを加えたcombination assayは早期発見の補助診断にも期待できる.
  • 栗原 泰之, 中島 康雄, 新美 浩, 原 昭彦, 栗原 宜子, 石川 徹, 平 泰彦, 横手 薫美夫, 長田 博昭
    1991 年 31 巻 2 号 p. 215-219
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Stage III非小細胞性肺癌の縦隔リンパ節のCT像と予後の関連を検討した.病理学的N2以上であった26症例を, CT像によりA群: CT陰性例, B群: 周囲浸潤を伴わないリンパ節腫大群, C群: 周囲浸潤を伴うリンパ節腫大群の3群にわけ累積生存率を比較したところ, 順に予後が悪くなる傾向を示した.CT上のリンパ節の形状に注目することは有意義であると考えられた.
  • 2.制癌性白金錯体とetoposideとのin vitroにおける併用効果の検討
    米井 敏郎
    1991 年 31 巻 2 号 p. 221-227
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ヒト肺小細胞癌細胞株を用いたコロニー形成法により, 各種制癌性白金錯体とetoposide (ETP) とのinvitroにおける併用効果の検討を行った.cisplatin (CDDP) とETPの併用では相乗効果が認められたが, carboplatinとETPの併用効果はほぼ相加的であった.また254一SとETPの併用では, 低用量の場合には拮抗作用を示したが, 高用量の場合には相乗効果が認められた.
  • 鶴見 豊彦, 小川 純一, 井上 宏司, 正津 晃
    1991 年 31 巻 2 号 p. 229-234
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    38例の肺癌所属リンパ節で, 癌細胞攻撃の中心的担い手であるキラーTリンパ球, NK細胞について腫瘍進展に伴う変化を調べた.キラーTリンパ球はN2例では, 転移に拘らず低下し, NO, N1例の転移陰性リンパ節では腫瘍が隣i接臓器に浸潤したり, 核DNAパターンがAneuploid patternを示すと有意に低下し, 腫瘍に対する免疫応答能を推測する一因子として有用と考えられた.これに対してNK細胞活性は種々の悪性度因子間で有意差はみられなかった.
  • CRを得たT4肺腺癌の手術例
    谷口 清英, 川口 仁, 坪田 典之, 新居 清美, 中元 賢武, 前田 昌純
    1991 年 31 巻 2 号 p. 235-240
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性. 審査開胸により腺癌と診断された縦隔型肺癌 (T4N0M0) に対し, rhGCSF併用neoadjuvantchemotherapy (MVP療法: CDDP80mg/m2, VDS3mg/m2, MMC8mg/m2) 5クールでCompleteResponse (以下CR) を得た. その後左上葉切除術を施行しえた. CEAを指標にした抗腫瘍効果の判定からCR導入までの化学療法の施行回数および治療効果の予測が行いえた. rhG-CSF併用により抗癌剤の短期集中大量投与が可能となり, 進行非小細胞肺癌に対してもdose-intensitivechemotherapyが適応しうる可能性が示された.
  • 本邦若年者 (19歳以下) 報告例の文献的検討
    東山 聖彦, 土井 修, 児玉 憲, 建石 竜平
    1991 年 31 巻 2 号 p. 241-246
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    若年者に発生した肺硬化性血管腫の一例を報告する. 症例は13歳, 男子. 中学校入学時の検診にて, 胸部レントゲン異常陰影を指摘され紹介される. 右肺S4, 2.0cm大の腫瘤で, 右肺S4部分切除術を行った. 組織学的には硬化性血管腫と診断された. 肺硬化性血管腫は中年女性に好発するとされているが, 19歳までの若年者に発生する症例は本例を含め本邦では13例目である. 若年者の肺硬化性血管腫について文献的考察を加えた.
  • 増本 英男, 須山 尚史, 荒木 潤, 浅井 貞宏, 南 寛行, 池野 雄二
    1991 年 31 巻 2 号 p. 247-252
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    患者は63歳, 男性. 約10年前より肺結核腫として観察されていた陰影が急速に増大してきたため入院となった. 右上葉S2を中心とする巨大な腫瘤で, 右肺全摘出術が施行された. 腫瘍は卵巣などにみられる嚢胞腺癌に類似した形態をとっていた. この興味ある腫瘍の組織発生に関しては, 気管支腺よりも気管支表面上皮の杯細胞由来が示唆された.
  • 平田 敏樹, 山田 孝, 八木 一之, 秋山 仁一郎, 高嶋 義光, レシャード カレッド
    1991 年 31 巻 2 号 p. 253-258
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺梗塞を契機として発見された原発性肺癌の1例を報告する. 症例は49歳, 男性. 右胸痛, 血疾で発症し, 肺動脈造影, 肺血流シンチおよび気管支鏡を施行し, 術前に原発性肺癌 (扁平上皮癌) と肺梗塞の合併と診断できた. 臨床的に肺癌と肺梗塞の合併が発見されることはまれであり, 肺癌症例においては, 付随病変に対し肺梗塞を鑑別診断として考慮すべきであり, 肺梗塞では肺癌も念頭において中枢側の病変を検索すべきと考えられた.
  • 喀痰細胞診陽性で部位診断困難例に対する精査方法に関する考察
    佐川 元保, 斉藤 泰紀, 遠藤 千顕, 高橋 里美, 薄田 勝男, 菅間 敬治, 佐藤 雅美, 太田 伸一郎, 今井 督, 藤村 重文
    1991 年 31 巻 2 号 p. 259-263
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    喀痰細胞診陽性例の精査に際し, 上気道癌は鑑別すべき疾患として重要である. 我々はTx肺癌例との鑑別に難渋した上気道癌を経験し, 部位同定困難例の精査法に関し検討した. 症例1は, 耳鼻科的観察では正常だったが上咽頭のrandom biopsyで癌を発見した. 症例2は, 上顎洞に副鼻腔炎と思われる粘膜肥厚を認めたが, 穿刺細胞診で癌と確認した. 副鼻腔や上咽頭は耳鼻科的にも盲点となるので, CTや生検を積極的に活用することが重要である.
  • 小池 道子, 中川 健, 松原 敏樹, 石川 雄一, 翁 秀岳, 土屋 永寿
    1991 年 31 巻 2 号 p. 265-273
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は66歳男性. 喀痰細胞診発見. 胸部X線で右上葉の腫瘤陰影と右下葉の気腫性病変を認め, 当初前者を癌と疑ったが, CT, 経時的陰影変化, TBLBにより下葉の気腫性嚢胞合併肺癌と局在診断し, 手術により確認した. 癌は明らかな腫瘤を形成せず, 嚢胞壁に沿って広範に浸潤した高分化乳頭腺癌で, pT2N2MO, pStageIIIAであった. 本症例を含め自験例5例, および本邦報告30例の嚢胞壁に接する肺癌症例について, 診断を中心に検討した.
  • 岡田 信一郎, 小林 俊介, 稲葉 浩久, 藤村 重文
    1991 年 31 巻 2 号 p. 275-278
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は71歳男性で肺小細胞癌により右肺1L葉切除術後2年口に, 喀疾細胞診により小細胞癌が疑われた. 気管支鏡検査で気管に腫瘍が発見された. 生検で小細胞癌の再発と診断した. CyclophosphamideおよびVincristineの投与後1inac40Gyを追加照射し完全消失した. 治療後の2度に亘る気管支鏡下生検でいずれも腫瘍組織の遺残が認められなかった. 治療後6カ月の現在再発の徴候がみられず健在である. 術後follow-upの手段として, 定期的な喀疾細胞診検査および気管支鏡検査の有用性を強調した.
  • 斎藤 裕, 北川 清秀, 山端 輝夫, 増田 信二, 北川 正信
    1991 年 31 巻 2 号 p. 279-283
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    右後頭側頭部に孤立性巨大骨シンチ集積像を認める35歳肺腺癌症例を経験した. 骨病巣は肺癌の骨転移と診断し, 肺原発巣切除と右後頭骨切除を行った. 骨病巣は癌転移のない骨硬化で, 肺癌との関係は明らかでなかった. 原発巣根治手術の機会を逸しないよう, 孤立性骨シンチ集積部位に対して積極的に生検や切除を行うべきと考えられた.
  • 1991 年 31 巻 2 号 p. 285-298
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 31 巻 2 号 p. 299-305
    発行日: 1991/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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