肺癌
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喀痰検診発見肺癌例の診断と治療における問題点
赤荻 栄一三井 清文鬼塚 正孝藤原 明湯浅 洋司木下 朋雄小川 功中川 晴夫長谷川 鎮雄渕上 隆柳内 登唐沢 和夫
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1991 年 31 巻 2 号 p. 201-206

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抄録

1985年から1988年までの4年間に喀痰検診で発見された57例の肺癌例を対象として診断と治療上の問題点を検討した.胸部X線有所見例は21例で, 無所見例は36例であった.胸部X線有所見21例中9例は, 検診時間接X線写真での見落とし例であった.従って喀痰細胞診により, 胸部X線上見逃され易い所見を有する肺癌が少なからず発見されていることが知られた.胸部X線無所見例中14例は気管支鏡的にも無所見で, そのうち7例が検査の途中で治療を拒否して退院した.気管支鏡無所見例のほとんどは末梢型早期気管支扁平上皮癌であった.切除標本により早期気管支扁平上皮癌と確定した症例は23例あり, その術後5年生存率を術前肺機能の程度別にみると, 肺機能正常例では100%,%VCあるいは1秒率が60%に満たない低肺機能例では35%であった.従って低肺機能早期気管支扁平上皮癌の手術適応には注意すべきである.

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