肺癌
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肺野型肺癌例の胸部単純像を用いた読影実験
孤立腫瘤影のX線像所見と検出成績
森 雅樹高畠 博嗣笹岡 彰一名取 博鈴木 明
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1992 年 32 巻 2 号 p. 185-192

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抄録

肺腫瘤影のX線学的特徴とその検出成績に関して検討した.肺野型小型肺癌192例および対照118例の胸部単純正面像を無作為順に27名の医師に読影させ, 腫瘤影の存在部位と4段階の確信度を記入させた.確信度を3~0点にスコア化し, 見落しや部位の誤認は0点とした.確信度の平均値を腫瘤影の検出スコアとした.腫瘤影の径を計測し, X線学的特徴として腫瘤影の濃度, 辺縁不明瞭性, スピキュラ形成, 血管収束像, 胸膜陥入像および腫瘤影と後肋骨または前肋骨との重なりの程度について評価しスコア化した.腫瘤影の82%は検出され, 18%は見落とされた.腫瘤影の径と検出スコアの間には, ごく弱い正相関を認めた.腫瘤影の濃度, スピキュラ形成, 血管収束像, および腫瘤影と後肋骨の重なりの程度の各スコアでは, 検出スコアとの間に相関を認めた.しかし, 辺縁不明瞭性や腫瘤影と前肋骨との重なりの程度は, 検出スコアと相関しなかった.

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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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